聞く紅茶教室

講義時間:約5分

第77講 紅茶と物語世界(7)

7.現代アニメ・ゲームと紅茶

二十一世紀に入ると、
紅茶は少し違う役割を持つようになります。

それは、
「飲み物」としてではなく、

「キャラクターを説明するもの」

としての紅茶です。


黒執事

たとえば、
アニメ『黒執事』では、
紅茶は単なる背景ではありません。

そこにある紅茶の銘柄。
淹れ方。
ティーカップ。

それらすべてが、

「これは英国世界である」

という空気を支えています。

つまり紅茶は、
英国らしさそのものを作る、
重要な道具になっているのです。


Fate/GrandOrder

『Fate/GrandOrder』でも、
紅茶を飲むキャラクターたちは、
単に英国系というだけではありません。

ティーカップを持つことで、

知性。
余裕。
貴族らしさ。

そうしたものを、
自然に表現しているのです。

つまりティーカップは、

「プロフィールに書かれていない性格」

を見せる装置になっているのです。


ご注文はうさぎですか?

『ご注文はうさぎですか?』では、
また違う形で紅茶が使われています。

ここでの紅茶は、
英国文化というより、

「やわらかな午後」

そのものを作る存在です。

ティーポットのお湯の音。
白いカップ。
静かな湯気。

それらは、
味を説明しているのではありません。

「静かな幸福」

を視覚化しているのです。


ARIA

『ARIA』では、
さらに面白い使われ方をします。

紅茶を淹れる時間そのものが、
物語のテンポを変えるのです。

お湯を注ぐ。
蒸らす。
カップを置く。

その「間」が、
視聴者の時間感覚を、
ゆっくりにしていきます。

つまりここでの紅茶は、

「飲むと癒やされる飲み物」

ではなく、

「淹れている間に世界をゆるめる飲み物」

なのです。


くまのひとりごと

アニメやゲームに、
紅茶が出てくると、
その場面の、
空気が見えるような効果があります。

そしてその空気が、
ときにはセリフ以上に、
キャラクターを物語ります。

特に21世紀に入ってから、
アニメやゲームの中の紅茶は、
より洗練された、
アイコンになってきたように、
くまは感じています。