食糧管理法

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🔸 概要

食糧管理法とは、戦後日本において食糧の生産・流通・価格を国家が一元管理することを定めた法律です。1942年(昭和17年)に制定され、主に米・麦・雑穀などの主食類を対象とし、戦後もしばらく継続されました。生活必需品とみなされない食品(たとえば紅茶)は、この法律の保護対象外とされ、物資統制下で冷遇される一因となりました。

🔸 制度・背景

食糧管理法は、戦時体制の強化と物価の安定を目的に制定されました。戦後もGHQの統制経済方針の影響を受け、1940年代末から1950年代初頭にかけて、国家が食糧の流通と価格決定に大きな権限を保持しました。

この制度のもとで、食糧(特に米)の配給・買上げ価格が国家によって決められる一方で、紅茶などの嗜好品は「統制対象外」「贅沢品扱い」とされ、事実上の抑制対象となっていました。

🔸 紅茶との関係

紅茶はこの法律によって直接制限されたわけではありませんが、国家の保護対象から除外されたことで、事実上の冷遇を受けていました。

また、「食糧=命」「贅沢品=余剰」という戦後の分類意識により、紅茶は長らく配給対象にもならず、嗜好品としての再流通は高度経済成長期まで待たねばなりませんでした。

このように、食糧管理法は紅茶の復権にとって「見えない壁」となっていた制度の一つでした。

🔸 関連制度・用語

  • 贅沢品指定
  • 配給制度
  • 嗜好品統制
  • 物資統制令
  • 統制経済
  • 農林省通達