一時硬水
概要
一時硬水とは、炭酸水素カルシウムや炭酸水素マグネシウムを多く含む硬水のことで、煮沸(沸騰)させることで硬度成分が沈殿し、軟水に変化する水のことです。
由来
空気中の二酸化炭素が雨水に溶け込むと炭酸ができます。
CO2+H2O→H2CO3
その水が石灰岩地層を通ると、炭酸カルシウムが溶けて炭酸水素カルシウムになります。
CaCO3+H2CO3→Ca(HCO3)2
この炭酸水素カルシウムが、水を一時硬水にする主な原因です。
軟水化
煮沸すると、炭酸水素カルシウムは分解し、二酸化炭素が空気中に抜け、炭酸カルシウムとして沈殿します。
Ca(HCO3)2→CaCO3↓+H2O+CO2↑
その結果、カルシウムイオンが水中から減り、硬度が下がります。
炭酸水素カルシウムは加熱によって炭酸カルシウムに変わり、水の中から析出します。この白い沈殿は、やかんやポットの内側に付着する「湯あか」の原因にもなります。
このとき、煮沸後に軟水域まで下がるものが一時硬水です。一方、硫酸カルシウムや塩化カルシウムが主成分で、加熱しても硬度があまり下がらないものは永久硬水と呼ばれます。
実例
沖縄の水道水は石灰岩地帯の影響で比較的硬度が高く、200mg/L前後になる地域もありますが、煮沸によってかなり硬度が下がることがあります。こうした水は一時硬水的な性質を持っています。
一方、フランスのミネラルウォーターは硫酸塩やマグネシウムを多く含むものが多く、たとえば Evian は硬度304mg/L、Contrex は1468mg/Lにもなります。これらは煮沸しても硬度が大きくは下がらず、永久硬水的な性質が強いです。
紅茶との関係
紅茶には軟水の方があいます。
そこで硬水が多いヨーロッパなどでは、ことさらしばらく沸騰させた湯で紅茶を淹れることが大切だと言われる所以となっています。