聞く紅茶教室

講義時間:約8分

第7講 清代

香りの多様化と、紅茶前夜

明代に、
茶は「葉を引き出す文化」へ変わりました。

そして次の清代になると、

茶はさらに、

「香りの多様化」

へ向かっていきます。

この頃になると、
製茶技術は大きく発展し、

地域ごとの個性も、
はっきり現れ始めます。

発酵を浅く止めた茶。

しっかり火を入れた茶。

花のような香りを持つ茶。

焙煎による重厚な香りを持つ茶。

人々は少しずつ、

「茶の違い」

そのものを楽しみ始めていきました。

そしてこの流れの中で、

烏龍茶

が育っていきます。

完全発酵でもない。

不発酵でもない。

その中間を狙うことで、

複雑な香りの変化を作り出す。

くまは、
烏龍茶の誕生には、

「香りを操ろうとした人間の執念」

のようなものを感じます。

どのタイミングで止めるか。

どれくらい揺らすか。

どこまで酸化させるか。

そこにはもう、

偶然ではなく、

「設計された香り」

の世界があります。

そして実は、

紅茶も、
この流れの延長線上にあります。

現在の紅茶は、

完全発酵茶

と呼ばれることがあります。

けれどTea Worldでは、

「完全に発酵した」

というより、

「香りを深く変化させる方向へ進んだ茶」

と考えた方が、
本質に近いと思っています。

つまり紅茶は、

突然生まれたものではありません。

長い時間をかけて、

人が、

「もっと香りを引き出したい」

と願い続けた先に、

少しずつ姿を現してきたものなのです。

そして清代の終わり頃。

福建の山々では、

煙香をまとった正山小種、つまり、

ラプサンスーチョンと呼ばれる茶が作られ始めます。

これが、

世界最初期の紅茶

のひとつとされています。

茶はここでついに、

「香りを味わう文化」

を極めながら、

新しい時代へ入っていくことになるのです。


くまのひとこと

くまは、
清代の茶文化には、

「人間の欲」

を感じます。

もっと香りを。

もっと複雑さを。

もっと余韻を。

その探究心が積み重なって、

今の紅茶へ繋がっていった。

そう考えると、

一杯の紅茶の中には、
何百年もの試行錯誤が、
静かに溶け込んでいる気がするのです。