聞く紅茶教室

講義時間:約10分

第6講 明代

葉茶革命と急須の誕生

やがて時代は、
明の時代へ入ります。

ここで茶は、
大きな転換を迎えることになります。

それまで主流だったのは、

団茶

粉茶

でした。

砕き、

煮出し、

点てる。

そうした飲み方が中心だったのです。

けれど明代になると、

「葉そのものを味わう」

という方向へ、
大きく舵が切られます。

これが、

葉茶

の時代です。

摘み取った葉を、

炒り、

揉み、

乾かす。

その工程の中で、

香り

を引き出していく。

ここで茶は、

「飲む」

だけではなく、

「香りを楽しむもの」

へ、
大きく近づいていきます。

そして同時に、

ある道具が重要になります。

急須です。

葉を湯に浸し、

待つ。

ゆっくり香りを引き出し、

静かに注ぐ。

現在の中国茶や紅茶へつながる、

「抽出」

という感覚が、
ここで育っていきました。

くまは、
この変化をとても大きいと思っています。

それまでの茶は、

「点てる」

文化でした。

けれど明代以降、

茶は、

「引き出す」

文化へ変わっていきます。

葉が、
湯の中でゆっくり開いていく。

時間とともに、

香りが立ち上がっていく。

この感覚は、

現代の紅茶にも、
そのまま繋がっています。

Tea Worldが大切にしている、

「香りの変化を見る」

という考え方も、

実はこの時代の流れの延長線上にあります。

そして明代には、

紫砂壺と呼ばれる茶器も発展していきます。

小さな壺の中で、

葉と湯が静かに向き合う。

その空間そのものが、

茶を美しく変化させる器

になっていったのです。

つまり明代は、

茶が、

「香りを引き出す文化」

へ変わった時代でした。

そしてその流れの先に、

烏龍茶。

そして紅茶が、

静かに姿を見せ始めることになります。


くまのひとこと

明の建国者、

朱元璋。

この人は、

「歴史上もっとも暗い皇帝」

と呼ばれることがあります。

粛清。

疑心暗鬼。

極端な統制。

そして、
貧民出身ゆえの強い執念。

そういう「重さ」を、
かなり持った皇帝でした。

だからくまは、

朱元璋は、

「自分は暗い」

ということを、
どこかで自覚していたのではないか、

と思っているのです。

それで、

せめて国名くらいは、
明るくしたかった。

だから、

「明」

にしたのではないか。

そんなふうに、
想像してしまうのです。

もちろん、
完全なくまの想像です(笑い)

けれど面白いことに、

結果として明代は、

茶文化にとって、
かなり「明るい時代」になります。

葉茶。

急須。

香りを引き出す文化。

茶はこの時代に、

今の私たちが知っている形へ、
大きく近づいていくのです。