聞く紅茶教室

第84講 六大茶とは何か

一枚の葉から六つの世界へ

こんにちは、森のくまです。

今回から数回にわたって、お茶の世界を少し大きな視点から見ていきたいと思います。

テーマは「六大茶」。

緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶。

世界にはさまざまなお茶がありますが、その多くはこの六つの分類のどこかに属しています。

さて、ここで一つ考えてみてください。

緑茶も紅茶も烏龍茶も、もともとは同じ茶の木から作られているのです。

それなのに、なぜこれほど違う味や香りになるのでしょうか。

その答えは、「人がどこまで手を加えるか」という違いにあります。

摘み取った茶葉をすぐに加熱して酸化を止めれば緑茶になります。

少しだけ酸化を進めれば烏龍茶になります。

さらに酸化を進めれば紅茶になります。

そして微生物の力を利用して長い時間をかけて熟成させれば黒茶になります。

つまり六大茶とは、茶葉そのものの違いではなく、茶葉と時間との関係の違いなのです。

私は時々、お茶の分類は人間の性格に似ていると思います。

若々しく爽やかな緑茶。

静かで控えめな白茶。

温かみのある黄茶。

華やかな青茶。

国際的な紅茶。

そして深い歴史を感じさせる黒茶。

それぞれに異なる個性があります。

しかし、もとは同じ一枚の葉なのです。

だから六大茶を学ぶことは、単に製法を覚えることではありません。

それぞれの土地の気候を知り、人々の暮らしを知り、文化の違いを知ることでもあります。

私は、お茶とは「土地の記憶を飲む文化」だと思っています。

中国の山の風。

台湾の霧。

インドの強い日差し。

スリランカの高原の空気。

そうした土地の記憶が、一杯のお茶の中に閉じ込められているのです。

そして六大茶とは、その記憶を読み解くための地図でもあります。

次回からは、この六つの世界を一つずつ訪ねていきましょう。

まずは、日本人に最も身近な緑茶と、自然に委ねる白茶の世界です。