聞く紅茶教室

第85講 緑茶と白茶

若さと静けさの茶

こんにちは、森のくまです。

前回は、六大茶とは何かについてお話ししました。

今回は、その最初の二つ。

緑茶と白茶の世界を訪ねてみましょう。

まずは緑茶です。

おそらく日本人にとって、最も身近なお茶でしょう。

毎日のように飲んでいる方も多いと思います。

緑茶の特徴は、とてもシンプルです。

摘み取った茶葉をすぐに加熱し、酸化を止める。

それによって、茶葉の若々しい香りや鮮やかな緑色を保つのです。

言い換えれば、緑茶は「新鮮さを閉じ込めたお茶」です。

ところで、同じ緑茶でも日本と中国では作り方が違います。

中国では、鍋で炒ることによって酵素の働きを止めます。

これを炒青と呼びます。

一方、日本では蒸気を使います。

みなさんがよく飲む煎茶や玉露は、この蒸し製の仲間です。

中国の緑茶は香ばしく、日本の緑茶は瑞々しい。

同じ緑茶なのに、ずいぶん印象が違います。

私は中国茶も好きですが、やはり日本人だからでしょうか。

最後は日本茶の方がほっとすることが多いです。

もっとも、ヨーロッパへ行くと話は少し違います。

イギリスなどでは、中国のガンパウダーと呼ばれる緑茶の方がよく知られています。

お茶の好みもまた、文化の違いなのですね。

さて、次は白茶です。

白茶は、おそらく六大茶の中で最も静かなお茶です。

人はあまり手を加えません。

若い芽を摘み取り、ゆっくりと萎れさせる。

そして自然の力に任せて乾燥させる。

それだけです。

有名なのは中国福建省の福鼎や政和。

白毫銀針や白牡丹という名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。

淡い黄金色。

柔らかな甘み。

そして、どこか蜜を思わせる香り。

白茶には派手さはありません。

しかし、その静かな味わいの中には独特の魅力があります。

私は時々、白茶とは「つくらない勇気」のお茶ではないかと思います。

人が手を加えすぎない。

自然に任せる。

すると、自然は自然なりの答えを返してくれる。

白茶にはそんな思想が感じられるのです。

最近ではネパールの白茶も日本に入ってくるようになりました。

私も何度か飲んでいますが、とても上品で贅沢な味わいでした。

もし機会があれば、一度試してみてください。

きっと白茶というお茶の奥深さを感じられると思います。

緑茶は若さの茶。

白茶は静けさの茶。

同じ茶葉から生まれながら、その個性はずいぶん違います。

しかし、それこそがお茶の面白さなのです。

次回は、偶然から生まれた黄茶と、香りの芸術とも呼ばれる青茶、つまり烏龍茶についてお話ししましょう。