聞く紅茶教室

第88講 香りの地図

六大茶を味わうためのコンパス

こんにちは、森のくまです。

これまで数回にわたって、六大茶の世界を旅してきました。

緑茶。

白茶。

黄茶。

青茶。

紅茶。

黒茶。

今回は、それらを少し違う角度から眺めてみたいと思います。

テーマは「香り」です。

皆さんは、お茶を飲むときに何を感じるでしょうか。

苦味でしょうか。

甘味でしょうか。

それとも香りでしょうか。

実は、お茶の世界では香りはとても重要な意味を持っています。

なぜなら、香りには製法や土地の個性が現れるからです。

茶葉は同じでも、

作り方が変わると香りが変わる。

香りが変わると、お茶の性格そのものが変わるのです。

そこで登場するのが、フレーバーホイールです。

日本語では「香りの地図」と呼んでもよいでしょう。

これはお茶の香りを整理するための考え方です。

香りを言葉にするのは難しいものです。

しかし地図があれば、自分がどこにいるのか分かります。

お茶の香りも同じです。

まず緑茶。

緑茶の香りは清香。

せいこうです。

若葉や草花を思わせる爽やかな香りです。

春の朝の空気のような印象があります。

次に白茶。

白茶の香りは柔香。

じゅうこうです。

柔らかく穏やかで、どこか蜜を思わせる香りがあります。

派手ではありません。

しかし静かな魅力があります。

黄茶になると熟香が現れます。

じゅくこうです。

若さが少し落ち着き、温かみが加わります。

くまは秋の日差しを思い出します。

そして青茶。

烏龍茶ですね。

青茶の香りは花果香。

かかこうです。

花の香り。

果実の香り。

ときには蜜のような香り。

青茶の世界が多くの人を魅了する理由も、この豊かな香気にあります。

次は紅茶です。

紅茶の香りは甘香。

かんこうです。

甘く華やかで、どこか人を安心させる香りがあります。

英国でアフタヌーンティーが広まったのも、こうした香りの魅力があったからでしょう。

そして最後が黒茶です。

黒茶の香りは陳香。

ちんこうです。

これは少し説明が難しい香りです。

熟成によって生まれる落ち着いた香り。

古い木や土を思わせる香り。

長い時間を経た本や古民家の香りを連想する人もいます。

若々しさではなく、時間の深みを感じさせる香りです。

こうして見ると、

六大茶の香りはまるで人生のようです。

若葉のような緑茶。

静かな白茶。

温かな黄茶。

華やかな青茶。

社交的な紅茶。

そして深みのある黒茶。

それぞれが異なる魅力を持っています。

くまは時々、

六大茶とは六つの哲学ではないかと思います。

どこまで人が手を加えるのか。

どこで自然に任せるのか。

その選択の積み重ねが、お茶の個性になっているのです。

そして、その違いを最もよく伝えてくれるのが香りなのかもしれません。

もし皆さんがお茶を飲む機会があれば、

ぜひ一度、味だけでなく香りにも意識を向けてみてください。

きっと今までとは違う世界が見えてくると思います。

次回からは、六大茶の話を少し離れて、世界各地の茶文化を訪ねてみましょう。

まずは英国。

アフタヌーンティーの国です。

なぜイギリス人は午後になると紅茶を飲むようになったのでしょうか。

その歴史をたどってみたいと思います。

それでは、また次回お会いしましょう。