聞く紅茶教室
講義時間:約5分
第3講 漢代・三国
「薬」と「飲み物」のあいだ
神農の時代から、
さらに長い時間が流れていきます。
漢の時代。
そして、三国の時代。
このころの文献には、
茶が少しずつ登場し始めます。
けれど、
まだ今のような、
「日常の飲み物」
ではありません。
どちらかというと、
薬
と
飲み物
の、
ちょうどあいだにある存在でした。
身体を整えるために飲む。
口の中をさっぱりさせるために飲む。
眠気を払うために飲む。
そうした目的で、
少しずつ使われていたのです。
当時の茶は、
今のような茶葉の形ではありません。
葉を蒸し、
固め、
保存しやすい形にした、
「団茶」
が主流でした。
山あいの市場では、
その団茶が運ばれ、
長い旅に耐えられるよう、
交易品として扱われていました。
人々は、
その団茶を砕き、
火にかけた湯で煮出します。
香りは、
まだ素朴です。
味も、
少し荒い。
けれど、
その苦みの奥にある清涼感が、
人を次のひと口へ誘っていきます。
くまは、
この時代の茶を想像すると、
山の湿った土の匂い
と、
薪がはぜる音
を思い浮かべます。
まだ洗練されてはいない。
けれど確かに、
「意識を覚ます飲みもの」
としての力を、
茶は持ち始めていました。
そしてこの頃から、
茶は少しずつ、
薬棚だけではなく、
人の暮らしの中へ、
降りていくことになります。
くまのひとこと
くまは、
「薬と飲み物のあいだ」
という時代が、
とても好きです。
まだ完成していない。
まだ定義されていない。
だからこそ、
人と茶との距離が、
とても近かった気がするのです。