聞く紅茶教室

講義時間:約7分

第21講 なぜ最初はコーヒーだったのか

コーヒーハウス文化という「先住者」

茶がヨーロッパへ届いた頃。

そこにはすでに、

別のカフェイン飲料が存在していました。

コーヒーです。

くまは、
ここがかなり重要だと思っています。

なぜなら、

紅茶は、

「何もない場所」

へ広がったわけではないからです。

ヨーロッパにはすでに、

コーヒー文化

が根を張っていました。

コーヒーは、
イスラム圏から広がり、

オスマン帝国を経由して、
ヨーロッパへ入っていきます。

そしてただの飲みものではなく、

「人が集まる場所」

そのものを作りました。

コーヒーハウスです。

そこでは、

商人が話し。

政治を議論し。

情報交換を行い。

新聞を読み。

商談を進める。

つまりコーヒーハウスは、

都市の知的空間

として機能していました。

くまは、
これがすごく面白いと思うのです。

コーヒーは、

単なる味

ではなく、

「場所」

を作った。

だから強かったのです。

特にこの文化は、

フランス。

オランダ。

イタリア。

そうした都市商人文化の強い地域で広がりました。

つまりヨーロッパでは先に、

「カフェでコーヒーを飲む生活」

が完成していたのです。

その後で、
茶が入ってきた。

だから紅茶は、

「後発組」

でした。

ここが大きなポイントです。

では、
なぜそれでも、
イギリスでは紅茶が勝ったのでしょうか。

くまは、
そこに、

「家庭」

の存在があると思っています。

コーヒー文化は、

都市。

議論。

外の空間。

そういう方向へ広がりました。

一方、
イギリスの茶文化は、

家庭。

社交。

応接。

ティーテーブル。

そうした、

「家の中」

へ広がっていきます。

つまり両者は、

同じカフェイン飲料でも、

文化の居場所が違ったのです。

コーヒーは、
都市と議論を育てました。

茶は、
家庭と社交を育てました。

この違いが、
後に、

フランスはコーヒー文化。

イギリスは紅茶文化。

という大きな分岐へ繋がっていきます。

くまは、
ここに歴史の面白さを感じます。

味だけで、
飲みものの運命は決まりません。

どこで飲まれたか。

誰と飲まれたか。

どんな空間を作ったか。

そういう文化の違いが、

後の世界を変えていくのです。


くまのひとこと

くまは、

コーヒーと紅茶は、

「どちらが上」

ではなく、

「役割が違う」

飲みものだと思っています。

コーヒーは、
人を外へ向かわせる。

紅茶は、
人を少し落ち着かせる。

もちろん例外はあります。

でも歴史全体を見ると、

そうした空気の違いが、
確かにある気がするのです。