水分活性(aw)
定義
食品中に存在する水のうち、微生物や化学反応が利用できる状態の水の割合を示す指標です。
aw(エーダブリュー)は 0 ~ 1 の値で表され、
- aw = 1.00 :純水
- aw = 0.90以上 :多くの細菌が増殖可能
- aw = 0.80前後 :酵母が増殖可能
- aw = 0.70前後 :カビの一部が増殖可能
- aw = 0.60未満 :ほとんどの微生物は増殖できない
とされます。
解説
多くの人は、
水分が多い=危険
と思っています。でも実際には、
微生物が利用できる水がどれだけあるか
が本質です。
例えば、
- はちみつ → 水分はあるのに腐りにくい
- ジャム → 水分はあるのに腐りにくい
- ドライフルーツ → 水分はあるのに腐りにくい
という現象は「水分活性(aw)が低いから」ということで説明できます。
つまり、食品が腐るかどうかは、水分量ではなく、水分活性で決まることが多いのです。ですから、食品において「水分が多いと危険」なのではなく、「水分活性が高いと危険」なのです。
代表例
| 食品 | 水分活性 |
|---|---|
| 生肉 | 高い |
| 牛乳 | 高い |
| はちみつ | 低い |
| ジャム | 低い |
| 乾燥茶葉 | 非常に低い |
略号について
ちなみにWater Activityなのに、略号がwaではなくてawです。食品安全を勉強し始めた人が、かなりの確率で一度は
Water Activity なら wa じゃないの?
と思います。でも、実は aw は、英語名の頭文字ではなく、もともと物理化学で使われていた記号なのです。
水分活性は、厳密には
aw
と書きます。この a は
activity(活量)
の aなのです。そして下付きの
w = water
を付けて
aw
つまり
water activity
ではなく
activity of water
という発想なのです。同じ仲間に、
as
activity of solute(溶質活量)のような表記があります。食品安全の人はあまり意識しませんが、このようにもともとは熱力学・物理化学由来の記号なのです。
紅茶との関係
1.乾燥した茶葉
乾燥した茶葉は水分活性が極めて低いため、通常は微生物が増殖しにくいです。
一方で、
- 吸湿
- 保管不良
- 結露
などが起こると品質劣化やカビの原因になります。
2.センテッドティー
生花から茶葉に香りを移すセンテッドティーは、水分活性の差を利用した技法です。
茶葉は乾燥していて水分活性が低く、生花は水分活性が高いため、生花の香気成分が茶葉へ移りやすくなります。
一方で、生花を長時間接触させると余分な水分まで茶葉に移り、品質低下や変質の原因になるため、生花を取り出すタイミングが重要になります。
🧸くまのひと言
「水がある」ことと、「使える水がある」ことは違います。人間から見ると同じ水でも、微生物にとってはまったく別の世界なのです。
aw = 0.60未満でほとんどの微生物は増殖できない
を覚えてもらえれば、実際には十分だと思います。これだけで乾燥茶葉やスパイス、砂糖、はちみつの保存性が一気に理解しやすくなります。
昔は
水分量を測れば保存性がわかる
と思われていました。ところが、それだと、はちみつ、ジャム、干しブドウなどの説明ができません。「水があるのに腐らない」という疑問が出てきたのです。そこで研究者が
「水の量じゃないな……」
「使える水の量だ!」
と気づいて生まれた概念なのです。
だから Water Activity は、単なる分析値というより、
「見えないものを見えるようにした概念」
なのです。