初心者のための紅茶テイスティング-テイスティング入門(6)
学習目標
- 初心者が紅茶をテイスティングするときに、まず見るべき基本項目として、香り・渋みの質・余韻を理解し、実際の一杯で観察する順番を身につける。
3行まとめ
- 初心者のテイスティングでは、すべてを一度に見ようとしなくて大丈夫です。
- まづは、香り、渋みの質、余韻の三つに注目すると、紅茶の特徴をつかみやすくなります。
- 最初の一杯で結論を出さず、時間による変化を見ながら、紅茶を静かに観察していきましょう。
この講義の問い
- 初心者が紅茶をテイスティングするとき、まず何を見ればよいのでしょうか。
テイスティングと聞くと、たくさんの専門用語を知らなければならないように感じるかもしれません。
けれど、最初から全部を見ようとしなくて大丈夫です。
まづは、香り・渋み・余韻の三つから始めてみましょう。
第3章 テイスティングの基本
まず3つだけ分かればよい
テイスティングの入口は、たった3つです。
香り・渋み・余韻
この3つを読むだけで世界が変わります。
テイスティングというと「難しそう」 「専門家の技術」という印象を持ちがちです。しかし、実際の入口は驚くほどシンプルなのです。もう一度強調します。
① 香り
② 渋みの質
③ 余韻
この3つだけ読み取れれば、紅茶のテイスティングは「今日から」できます。
1.香り 紅茶の「本体」
紅茶の魅力の中心は、やはり 香り にあります。香りは「固定されたひと言」ではなく、時間と温度によって変化する構造です。
湯を注いだ瞬間:トップ
軽く、華やかで、揮発性の高い香り。
温度が少し下がった時:ミドル
その茶の正体が現れる「本体」。
完全に冷めた時:ボトム
深み・土壌・タンニン。骨格の香り。
初心者はまず、トップ→ミドル→ボトムの「3段階の変化」を感じ取るだけで良いです。
ひと言の「花っぽい」 とか「果実感」とかではなく「変化していく香りを追う」のが Tea World のテイスティングです。
2.渋みの質 紅茶の「骨格」
渋みは「強い/弱い」ではなく、「質」で読むのが重要です。
良い渋み
- 舌に きゅっ と触れて
- 1〜2秒以内にすっと消える
- 後に「甘さ」が残る
- (国産紅茶・高級ダージリンによく見られる)
悪い渋み
- 舌の上に べたっと残り続ける
- 苦味・雑味を伴う
- 水の質や光劣化で発生しやすい
初心者でも
「すぐ消えるか、長く残るか」
だけで判断できます。
※ 同じ紅茶でも硬水では「悪い渋み」が出やすいです。
3.余韻 紅茶が「語りかける部分」
紅茶の余韻は、飲み終わってからが本番です。余韻には、その茶が持つ
- 土壌の記憶
- 加工の丁寧さ
- 保存状態
- 年度ごとの差
がすべて現れます。最初に見るべきは次の2点です。
① 余韻は「伸びるか、すぐ切れるか?」
- 伸びる=香りの骨格が強い
- 切れる=軽い/若い/変質の可能性
② 甘さがあるか?
- 良い茶は、最後に「微かな甘さ」が戻る。
- 甘さがなければ渋みが荒れている場合も。
4.初心者は「香り → 渋み → 余韻」の順で読む
これは最も邪魔が入らない順番です。
1° 香り(温度の変化を見る)
2° 渋みの質(短いか、長いか)
3° 余韻(甘さ・方向性)
この順に観察するだけで、テイスティングの基礎が自動的に身につきます。
逆に「渋いかどうか」から入ると、すぐ評価モードに入ってしまうため危険です。
5.最初の1杯は「結論を出さない」
テイスティング初心者が最も陥りやすいのは、
「1杯目で評価を出してしまうこと」
この癖は、香りの変化を見る能力を妨げます。
- 1杯目は「観察」だけ。
- 2杯目で「印象」をまとめる。
- 3杯目で「結論」を出す。
これだけで上達スピードは劇的に変わります。
6.香りのピークは湯を注いで「14分以内」
紅茶には、香りが最もよく見える「観察のピーク」があります。
- 抽出直後〜1分:トップ
- 1〜7分:ミドルの変化
- 7〜14分:ボトムが安定
14分を過ぎると、香りの構造は緩やかに崩れていきます。
(※ フレーバーティーはさらに早い)
この「14分ルール」を知っているだけで、テイスティング精度は一気に上がります。
今日のポイント
- 最初に見るべきものは、香り・渋み・余韻です。
- この三つを順番に見るだけでも、紅茶の印象はかなり整理しやすくなります。
- 大切なのは、正解を急がず、一杯の中の変化を追うことです。
森のくまのひとこと
テイスティングはまづ香り、渋み、余韻の三つに着目します。
そうするとその紅茶の全体像がはっきりと浮かんできます。
そして紅茶は時間とともに変化する飲み物です。
その変化を楽しむことも大切なのです。