テイスティングの基本手順-テイスティング実践編(1)
学習目標
- 家庭でも再現しやすい紅茶テイスティングの基本手順を知り、道具・茶葉量・湯量・温度・時間をそろえる意味を理解する。
3行まとめ
- 紅茶テイスティングは、特別な才能ではなく、条件をそろえる観察の方法です。
- 茶葉量・湯量・温度・抽出時間をそろえることで、香りや味の違いが見えやすくなります。
- 家庭では、まず「同じ条件で比べる」ことが、もっとも大切な第一歩です。
この講義の問い
- 同じ紅茶を、同じ条件でいれたとき、香りや味わいはどのように見えやすくなるでしょうか。
紅茶のテイスティングは、特別な道具がなければできないものではありません。まず大切なのは、茶葉量・湯量・温度・時間をそろえ、紅茶を同じ条件で見ることです。
条件をそろえるだけで、香りや味わいの違いはぐっと読み取りやすくなります。
第4章 テイスティングの方法実際の手順
いよいよ実際に紅茶を「観察する技術」を、家庭レベルで完全に再現できる方法をご紹介します。手順さえ整えれば、誰でも正しく読めます。テイスティングは「才能」ではなく、道具と手順の統一でほぼ決まります。
本章では、家庭でも再現できる「Tea World 標準テイスティング手順」を整理しています。
まづ最初に準備をきちんとしておきましょう。
1.テイスティングセット vs 普段のマグ
まず最初の分岐です。
テイスティングセット(審査カップ)
- 100–150ml
- 白いカップ
- 専用の蓋つき
- 湯温・時間が再現しやすい
→ 香りの細部や変化を読むには最適です。ただし、ちょっとお高いです。
普段のマグ
- 容量が大きい
- 温度の落ち方が遅い
- 生活の延長として飲める
→ 日常の茶でも「観察したいとき」に使える。
結論
最初はマグで良いです。第5章の「軸」が育ってきて、本格的に楽しみたくなったら審査カップに移行しましょう。
2.お湯の量・温度・時間の統一
「統一こそが観察の前提」です。
常に同じ条件で行うようにすることでテイスティングが統一されて、比較が客観的にできるのです。
🔹 標準
- 湯量:150ml(審査カップはこの量が最適)
- 茶葉:2.5g
- 湯温:100℃
- 抽出:3分30秒
これを標準とする理由は簡単で、香りのピークをもっとも明確に観察できる条件だからです。
※ 国産紅茶やファーストフラッシュは90〜95℃が合う場合もありますが、まずは標準で統一するのが正解です。
3.茶葉の量(2.5g 基準)
2.5gは「紅茶鑑定の世界標準」です。
とはいえ、そういう決まりがあるわけではありません。でも、大体どこの国の人にも2.5g 基準は賛同してもらえると思います。なぜなら、以下の理由があるからです。
🍃2gだと……
- 香りが弱く出る
- 渋みの質が判断しにくい
- 余韻が見えない
- 初心者に向かない
🍃3g以上だと……
- 渋みが強く出る
- 硬水だと悪い渋みが混ざる
- 初心者に向かない
→ 2.5gは初心者でも、「香り・渋み・余韻」がもっともバランス良く観察できる量なのです。
4.テイスティングの国際基準
Tea World流の初心者向けの統一基準を説明してきましたが、紅茶のテイスティングには統一された国際基準が存在します。それがISO 3103です。
ISO 3103
ISO 3103には以下のように統一ルールが定められています。
ISO 3103 森のくま抄訳
- 白い磁器製のティーポット(310ml)を使用
- 茶葉を正確に2.0g量る(±0.01gの精度)
- 100mlの沸騰直後の湯を注ぎ、すぐに蓋をする
- 6分間の抽出を行う
- ポットからカップに注ぎ分け、液(リカー)と葉(茶殻)を評価する
これは、主観に左右されがちな味覚の評価を、なるべく客観的に行うための、つまり、比較のための淹れ方なのです。
実際にはほとんどの紅茶において6分間の抽出は時間が長すぎます。ただし、バイヤーやブレンダーなどのプロが細かく比較するためには成分を出し切るくらいに出さないといけないという事情がこうしたルールを作ったのだと思います。
ISO 3103についてはこちらの『紅茶とISO(4) ISO 3103:あの「標準抽出法」は本当に飲めるのか?』で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ御一読下さい。
今日のポイント
- テイスティングでは、道具よりも条件をそろえることが大切です。
- 茶葉量・湯量・温度・時間が変わると、味わいの印象も変わります。
- 家庭では、マグカップや手持ちの茶器でも練習できます。
- 「正しく評価する」よりも、「同じ条件で観察する」ことから始めます。
森のくまのひとこと
テイスティングの実践編の最初は「条件をそろえること」からです。
同じ紅茶でも条件が違ったら味や香りも違ってきます。
違う紅茶同士ならなおさらです。