第Ⅲ部 紅茶の味わい方
第44講

香りを読む順番-テイスティング実践編(2)

読了目安:5分

学習目標

  1. Dry Leaf・Wet Leaf・Liquor という三つの段階を通して、紅茶の香りを順番に観察する方法を理解する。

3行まとめ

  • 紅茶の香りは、茶葉の状態によって見え方が変わります。
  • 乾いた茶葉、抽出後の茶殻、液体としての紅茶を順に見ることで、香りの全体像がつかみやすくなります。
  • Dry Leaf・Wet Leaf・Liquor は、紅茶を立体的に読むための基本手順です。

この講義の問い

  • Dry Leaf・Wet Leaf・Liquor では、それぞれどのような香りの情報を受け取ることができるでしょうか。

紅茶の香りは、カップに注がれた液体だけで決まるわけではありません。

乾いた茶葉には産地や保存の手がかりがあり、抽出後の茶葉には香りの奥行きが残ります。

三つの段階を順にたどることで、紅茶は一杯の飲み物から、読み解く対象へと変わっていきます。

5.香りを取る順番(Dry → Wet → Liquor)

香りの観察は、必づこの順番で行わなければいけません。

1.Dry Leaf(乾いた茶葉)

  • トップの原型
  • 産地の方向性
  • 加工の精度
  • 保存状態の痕跡

 → 実は最も重要な香り

2.Wet Leaf(抽出後の葉)

  • ミドルの骨格
  • 香りの「戻り」
  • 焙煎/発酵の個性

→ 葉の「正体」がここに出る

3.Liquor(カップの液体)

  •  立ち上がり → 変化 → 余韻

 → 飲む前に「香りの物語」を半分以上理解できる

Tea World の黄金ルール

Dry Leaf を読めるようになると、紅茶は一生楽しくなる。

森のくま

6.Liquor(液)の香りの読み解き

液体の香りは、温度による変化を観察する技術です。

温度帯ごとの目安

🔸 90〜100℃:揮発系(花・青さ・柑橘)
🔸 70〜85℃:ミドル(果・樹木・蜜)
🔸 45〜65℃:骨格(甘さ・タンニンの丸み)
🔸 25〜40℃:ボトム(熟成・蜜黒糖・土壌感)

香りは「変化を読むもの」なのです。


7.温度帯ごとの変化の捉え方

温度が下がるにつれて香りが入れ替わります。
この「入れ替わり」が紅茶の魅力そのものなのです。

初心者のうちは次の3つだけ見ればよいです。逆に言えば、この3つがきちんと感じられるようになると、紅茶の輪郭がよく理解できるようになります。

  • A:熱い時に出る香りは何?(トップ)
  • B:温度が落ちて最もおいしい瞬間はどこ?(ミドル)
  • C:完全に冷めた時に現れる香りは?(ボトム)

この3つだけで、その茶が「どの方向へ伸びる茶か」が分かります。


8.一人でもできるブラインド法

テイスティングの練習法にブラインド法というのがあります。ブラインド法は比較の前に「先入観を消す」技術です。

  1. カップを2つ用意
  2. AとBの茶を入れる
  3. 紙でラベル(A/B)を隠す
  4. 香りの方向と渋みの質だけメモ
  5. 最後にラベルをめくる

→ 好き嫌いではなく「観察」が育つ。

特に国産紅茶の評価では、この方法が精度を大きく上げます。

森のくまのひとこと

紅茶の香りは茶葉の状態によって大きく変化します。

Dry Leaf・Wet Leaf・Liquorの3つの状態をしっかりと観察できるようにすることが大切です。

くまはDry Leafをそのまま食べて観察することもあります。

今日のポイント

  • Dry Leaf は、乾いた茶葉から香りの方向性を読む段階です。
  • Wet Leaf は、抽出後の茶葉から加工や香りの奥行きを見る段階です。
  • Liquor は、実際に飲む紅茶として香り・味・余韻を確かめる段階です。
  • 三つを分けて観察すると、紅茶の印象を言葉にしやすくなります。