オリジナルブレンド あなたの香りを創造する
学習目標
- この講義では、前編で学んだ、香り・味・コク、茶葉の三役、「森のくま三分法」という考え方を使いながら、自分だけのオリジナルブレンドを組み立てられるようになることを目指します。
- 初心者が失敗しやすいポイントを理解し、季節や気分に合わせてブレンドを設計する考え方を身につけることを目標とします。
- サンプルレシピを参考に自分でブレンドを設計できるようになります。
3行まとめ
- ブレンドで最も多い失敗は「欲張りすぎること」である。
- 主役・補助・コクの役割を意識すると、ブレンドは驚くほど安定する。
- レシピは完成形ではなく、自分だけの香りの物語を作るための出発点である。
この講義の問い
- もし自由に名前を付けられるなら、あなたはどんな紅茶を作りますか?
- 季節でも構いません。
思い出でも構いません。
好きな場所でも構いません。 - その名前が決まった時、ブレンドはすでに半分完成しているのかもしれません。
理論を学んだら、次は遊ぶ番です。
紅茶のブレンドは、料理のレシピとも少し違います。
同じ配合でも、飲む人によって感じる景色が変わるからです。
ここからは、春の窓辺、秋の果樹園、暖炉の前、夜明け前の花園など、さまざまな情景を手がかりにしながら、香りの世界を歩いてみましょう。
きっとその途中で、「自分だけの一杯」が見つかるはずです。
8.あなたの「季節の香り」を作る
前章まででオリジナルブレンドを作る時の考え方などを見てきました。今回はそれを活かしたオリジナルブレンドの実例(レシピ)を紹介していきたいと思います。
実例を参考に「あなたのオリジナルレシピ」を作り出してください。
最初に決めること
まづ最初に
- 主役
- 補助
- コク
- 温度帯
- どの香りづけ技法を使うか
- 名前の理由
の6つを決めます。たったこれだけのことを決めるだけで、世界で一つだけのブレンドが完成します。
9.参考レシピ
A.〈軽やかなブレンド(Light)〉~気分を整える、春と夏の香り~
A-1 春の窓辺(Spring Window)
主役:ニルギリ 70%
by 森のくま
補助:レモングラス 20%
コク:キャンディ 10%
温度帯:85〜90℃
技法:ハーブブレンド(ドライ抽出)
仕上がり:レモンの軽い揮発とニルギリの朝の風が重なり、透明感のある一杯になります。
🧸くまの一言
朝のひかりを閉じ込めたような、清々しい香りです。レモングラスはフレッシュでもよいです。フレッシュの場合はドライの場合の2倍(重さ)入れて下さい。また、レモングラスの代わりにレモンバームでもおいしいブレンドができます。
A-2 かすみ野のティータイム(Mist Field)
ダージリン1st 70%
by 森のくま
補助:マリーゴールド(Calendula) 20%
コク:ルフナ 10%
温度帯:80〜85℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:花の明るさと渋みの少ない軽さが調和する一杯です。
🧸くまの一言
思ったよりも体が温まるブレンドです。マリーゴールドは観賞用や八重咲のものではなく、必ず「ポットマリーゴールド(Calendula)」を使って下さい。
A-3 レモンの木陰(Shaded Lemon)
ディンブラ 70%
by 森のくま
補助:レモンピール(乾燥)+レモン香料少量
コク:アッサムCTC 10%
温度帯:90℃
技法:香料含浸ドライ素材
仕上がり:香料が一瞬に広がる「香りの先走り」系です。夏にアイスティーにすると絶品です。
🧸くまの一言
レモンピールをオレンジピールに、レモン香料をオレンジ香料にするのもおいしいです。レモンでも、オレンジでも、スライスを1枚添えるとより一層魅力が引き立ちます。
B.〈深みのブレンド(Medium)〉~秋の読書時間や、夜のくつろぎに~
B-1 本棚の木の香り(Library Wood)
キャンディ 70%
by 森のくま
補助:シナモンチップ 20%
コク:アッサムCTC 10%
温度帯:95℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:ウッディ+スパイスの深みがありながら、重すぎないブレンドです。本当に「夕方の書斎」の味です。
🧸くまの一言
くまはミルクティーが苦手なので飲みませんが、このブレンドはミルクティーが好きな人にも好評でした。
B-2 秋の果樹園(Autumn Orchard)
ディンブラ 70%
by 森のくま
補助:アップルピール(乾燥)+アップル香料
コク:ルフナ 10%
温度帯:90〜95℃
技法:香料含浸
仕上がり:リンゴ皮特有のほろ苦い揮発と甘い香料が二段階で広がるブレンドです。
🧸くまの一言
これは素直でおいしいブレンドです。これにほんの少しのシナモン(パウダー)を加えても、また違ったおいしさを楽しめます。
B-3 紅葉の散歩道(Maple Walk)
アッサム(OP) 70%
by 森のくま
補助:カモミール 20%
コク:アッサムCTC 10%
温度帯:95℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:麦わら香と甘みが重なる、優しい深みのブレンドです。
🧸くまの一言
これは試して頂くとわかりますが、本当に「優しいブレンド」です。
お腹がすいている時でもすんなりと飲めるので、ダイエット中にもお勧めです。
C.〈力強いブレンド(Strong)〉~冬・ミルクティー・チャイ向け~
C-1 雪どけチャイ(Melted Snow Chai)
主役:アッサムCTC 70%
by 森のくま
補助:カルダモン+クローブ 20%
コク:ルフナ10%
温度帯:95〜100℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:ミルクティーでも負けない輪郭。カルダモンの爽快感が残る。
🧸くまの一言
チャイ用のブレンドはよく市販されていますが、このブレンドもぜひ試して頂きたいです。もし、物足りなさを感じたら、出来上がったチャイにシナモンパウダーを少しだけ加えてみて下さい。
C-2 冬の昼下がり(Winter Afternoon)
主役:ルフナ 70%
by 森のくま
補助:オレンジピール(+微量のバニラ香料)
コク:アッサムCTC 10%
温度帯:95℃
技法:香料含浸
仕上がり:バニラの「奥に残る甘み」と柑橘の表情が冬に合うブレンドです。
🧸くまの一言
これはストレートでもミルクティーでもおいしいブレンドです。オレンジピールに微量のバニラ香料を付けた後に、20分くらいなじませてからブレンドするとうまくいきやすいです。
C-3 暖炉の前で(By the Fireplace)
主役:ラプサンスーチョン 70%
by 森のくま
補助:桂皮(シナモンスティック砕き) 20%
コク:アッサム 10%
温度帯:95℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:スモーキーとスパイスの濃い時間。冬の夜にぴったりのブレンドです。
🧸くまの一言
これは「やってみないとわからない」タイプのブレンドです。
ストレートでもミルクティーでもあうと思います。
D.〈花のブレンド(Floral)〉~優雅・柔らかさ・香りが主役の世界~
D-1 初夏の庭(Early Summer Garden)
主役:ダージリン2nd 70%
by 森のくま
補助:ラベンダー 20%
コク:ニルギリ 10%
温度帯:90℃
技法:ハーブブレンド
仕上がり:紫の花の清涼感とダージリンの果香が響き合うブレンドです。
🧸くまの一言
くまが好きなブレンドの一つです。このブレンドのために青森のラベンダー農家の方から採れたてのラベンダーを譲ってもらって、自分で自然乾燥をしています(市販のラベンダーは熱乾燥しているものがほとんどで香りが残念なのです)。
ラベンダーは別名「うさぎたばこ」と呼ばれています。だから、くまはこのブレンドをこっそり「うさぎたばこのブレンド」と呼んでいます。
D-2 ローズの薄明(Rose Dawn)
主役:ディンブラ 70%
by 森のくま
補助:ローズ花片(+ローズ香料)
コク:アッサムCTC 10%
温度帯:90℃
技法:香料含浸
仕上がり:生花センテッドとは違う「華やかなローズ紅茶」の代表形です。
🧸くまの一言
意外と「味」が出るのがローズです。なので香料を使わないパターンもぜひ試してみて下さい。
D-3 夜明け前の花園(Before Sunrise Garden)
主役:烏龍茶(清香系) 70%
by 森のくま
補助:ジャスミン花(乾燥) ※香りは出ないので装飾
コク:ニルギリ 10%
温度帯:85℃
技法:センテッドではなく「ハーブ/装飾利用」の例として記載しました
仕上がり:乾燥ジャスミンは香りを出さないため、視覚を含めた「花の演出」としてのレシピ例です。
🧸くまの一言
これは良いサンプルになるブレンドだと思います。
ガラスのティーポットで淹れるととても華やかな雰囲気になります。
今日のポイント
- ① 香りの主役は一人でよい
香りをたくさん入れれば豊かになるわけではありません。
むしろ主役を一つ決めることで、全体の印象ははっきりとまとまります。 - ② 温度帯にも相性がある
茶葉には、それぞれ得意な温度帯があります。
相性を考えずに混ぜると、せっかくの香りや味が埋もれてしまいます。
ブレンドとは足し算ではなく、調和を探す作業です。 - ③ レシピは答えではなく入口
今回紹介するレシピは「正解」ではありません。
春の窓辺や秋の果樹園といった情景を手がかりに、自分なりの一杯へ育てていくための出発点です。
森のくまのひとこと
今回はオリジナルブレンドの実践編です。
森のくまのオリジナルレシピを参考として挙げてみました。
このレシピをぜひ実際に試してみてください。
どの順番でも構いませんが、迷ったら上から順に試してみてください。
順に試すとわかりやすく、理解が深まるようにしてあります。
そして全部試すと「ブレンドのコツ」がわかるようになっています。